糖尿病内科/女性健康寿命サポート外来
佐々 真理子 医師
本邦では女性の平均寿命は87.45歳と男性よりも長寿ですが、日常生活に支障がある非健康な期間(健康寿命との差)も約12年と男性より長いです。さらに、介護される方の7割が女性です。
女性健康寿命サポート外来では、女性に多い疾患や女性で更年期以降増える疾患とその予備軍(脂質異常症、肥満、耐糖能障害、骨粗鬆症、サルコペニア(筋肉量低下)、甲状腺疾患)を対象とし、若いうちから対策することによって、健康寿命の延伸をサポートすることを目標としています。
女性ホルモンであるエストロゲンは、脂質代謝やインスリン感受性を改善したり、内臓脂肪の蓄積を抑えたり、血管などにも作用して動脈硬化を予防したり、また破骨細胞(古い骨を吸収する細胞)と骨芽細胞(新しい骨を作る細胞)の両方に作用して骨の健康を保つなどしており、更年期より前の女性は、女性ホルモンによって守られています。
しかし、更年期(45~55歳頃)以降は、エストロゲンの作用が減少~欠乏するため、内臓脂肪が蓄積しやすく、LDLコレステロール値が上昇して男性の値を超えてきたり、血糖や血圧も上昇傾向となり、脂質異常症、糖尿病や高血圧の頻度が増え、これらによって、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが増加します。(脳卒中は女性で介護が必要となる主な原因の一つです。)
また骨量は、女性では閉経前後の数年間に急激に減少し、その後も緩やかに骨量低下が続くため骨粗鬆症が増加し、60歳代の5人に1人、70歳代の3人に1人、80歳代の2人に1人が骨粗鬆症です。さらに50歳以上の3人に1人が骨折しており、とりわけ大腿骨近位部骨折後は5年で約半数が亡くなっています。併せて筋肉量も20歳頃を過ぎると徐々に減っていき、一般的に70歳代で20歳代の4割程度に減少しますが、30~50歳代にあまり運動をしないと、筋肉量が急激に減少する可能性があります。このように骨粗鬆症や筋肉量の低下があると、将来転倒、骨折から寝たきりになるリスクがあります。骨粗鬆症の方は1,590万人(女性1,180万人、男性410万人)と推計されますが、受診している方は3割以下です。骨折や身長が縮むまで気づかれなかったり、治療を中断する人も多いためです。女性では骨折・転倒が要介護となる主な原因の1つで、骨折が原因で介護となった場合の費用は5年間で1,540万円とされています。
これらの疾患は、若い頃から適切な食事や運動、その他日常生活に注意したり、必要に応じて薬物治療も行うなどにより、発症や進行を予防、軽減することができます。女性健康寿命サポート外米では、現在の状態を評価し、お一人お一人に必要な介入を行って、脂質、血糖、血圧や体重を適切に保つことによって、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を予防したり、適切な食事療法、運動療法などで骨粗鬆症を予防し、筋肉量も保ち、将来の転倒~骨折から寝たきりになるのを防ぐことを目標としています。
骨密度・体組成測定装置(DXA)
当院では、全身の骨密度を正確に測定できるDXA(dual energy X-ray absorptiometory)を導入しており、併せて体組成(体肢筋量)も正確に測定することが可能です。また専門の理学療法士による筋力低下や骨粗鬆症予防~治療のための運動療法、転倒予防のエ夫、肥満の方の減量のための運動療法、管理栄養士による脂質異常症、糖尿病、高血圧症、骨粗鬆症や筋肉量低下の予防~治療のための食事療法を行っており、女性健康寿命サポート外来医師を中心に看護師、放射線技師、臨床検査技師、薬剤師、医事課、守る会スタッフがチームとなって診療にあたります。また状態により整形外科を受診していただきます。
女性の方は家事や仕事などで慌ただしかったり、家族の健康を優先するあまり自分の健康が後回しになっていた方も多いと思われますが、人生100年時代、早いうちから先を見すえ、ぼちぼちご自分の健康に目を向けて、寝たきりを防ぎ、充実した日々を過ごしていただけたらと考えています。地域の女性の皆さまが、末永く、生き生きとご自分らしく過ごせるようサポートさせていただきます。
診療日:毎週月曜日(予約制)
担 当:佐々真理子医師
受診のこ予約は、
うえだ下田部病院 072-673-7722まで
受付時間
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午後:12:30~15:30
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