2024年10月22日、うえだ下田部病院からすぐの健和会めぶきホールにて、糖尿病教室が行われ、前回を超える定員いっぱいの20名が参加されました。
今回のテーマは、「糖尿病とフットケアをよく知ろう!糖尿病神経障害 足病変って何?」で、当院で始まっている「リエゾン糖尿病外来」で行っているフットケアの取り組みに関連し、糖尿病に関係する足の病気について、また足のお手入れや予防についても一緒に学ぶ場となりました。
開始前に、看護師が血糖値や血圧などを測ります
糖尿病内科杉丘医師による「糖尿病足病変」についての講義
最初に糖尿病内科の杉丘医師より、糖尿病の患者さんに起こる足の病気「糖尿病足病変」について、解説がありました。
糖尿病による足の病気は、靴ずれや、乾燥してひび割れたり、足白癬(水虫)など様々な状態があります。
なかでも足の組織に潰瘍が起きてえぐれてしまうような足潰瘍という症状には特に注意が必要です。
足潰瘍は主に、糖尿病による神経障害、足の血流が悪くなってしまう血行障害、糖尿病のコントロール状況が悪いことによる免疫力の低下、という三つが主な原因となり起こります。
なので、これらを予防することに加え、足に傷を作らないという事が大事になってくる、という説明がありました。
糖尿病の神経障害というのは一回症状が出てしまうと治療するのが難しくなります。日頃から血糖コントロールを行い予防していくことが何よりも重要です。もし新しい症状に気付いた場合は積極的に診察で伝えてほしい、ということでした。
また、足の血流障害に関しては、まずはベッドサイドでもできる簡易的な検査から、超音波や造影剤での検査などを状態に応じて行っていくことができるという説明がありました。
血流障害の予防に関しては、血糖値だけではなく、血圧やコレステロールのコントロールが大事になってくることが説明されました。
免疫力の低下については、免疫に関わる物質の量が減ったりうまく働かなくなったりすることで、いろんな感染症にかかりやすくくなったり、傷が治りにくい、ということが言われています。
こういった症状の場合には、抗生剤で加療するとともに、やはり免疫力を下げないために血糖コントロールを行っていくことが重要だということでした。
以上より、糖尿病足病変の予防には、血糖コントロール・血圧コントロール・脂質異常症の治療・食事療法・適度な運動・禁煙・フットケアなど、日頃からの総合的な介入が必要になってくる、ということでした
当院でも8月からフットケア外来という足を専門的に診させていただく外来が始まっていまして、これは糖尿病の専門の資格を持つ看護師さんが、皆さんの足の状況、神経障害の状況だったり、血流の状況だったり、あとはタコができていないか、爪が破れてしまっていないかなどを細かく見させてもらって、足のケアのアドバイスをさせていただこうという外来になります。
海外でもこういったもので実際に足病変が減少し、足を切断しないといけない方が減少したというデータが報告されています。
糖尿病内科医だけでなく、看護師・理学療法士・栄養士・他科の医師なども含めて、多職種と連携しながら皆様の足を守れるように努めさせていただきたいと思います、という言葉で話が締めくくられました。
川端看護師より「リエゾン糖尿病外来」におけるフットケアについて話
続いて外来看護師で日本糖尿病療養指導士の川端看護師より、8月から始まった「リエゾン糖尿病外来」でのフットケアの取り組みについて話がありました。
糖尿病のある方は、神経障害によって痛みを感じにくい方が多く、怪我・やけどなどの発見が遅れてしまうことがある、ということでした。
そして傷口が化膿しやすく、傷の治りも悪くなります。足先への血流の流れが悪くなり、細胞に必要な栄養や酸素が届かなくなると、重症化することがあります。
そこで、「リエゾン糖尿病外来」では、足の病変を引き起こしやすい糖尿病患者さんがいつまでも自分の足で歩くために、一緒に足の状態を確認しながらお手入れを行っていくということが話されました。
「フットケア」とは、問診をしたあと、打腱器というものを使ってのアキレス腱反射の検査や、足のお手入れ、爪切り、足病変、水虫などの確認をしていき、そのあとお湯で足を洗います。
水虫や爪に異常がある場合は、ひどくならないように皮膚科や外科をご紹介します。
当院通院中の糖尿病患者さんを対象に、毎週月・火曜日に予約制で行っているという案内がありました。
そのあと、足病変を防ぐための正しい爪の切り方と、足の状態に合った靴選びについて、解説がありました。
爪の切り方に関しては、伸びすぎないようにこまめに、一直線に切り、深爪をしないように、変形した爪を無理に切らないようにしたほうがいいというアドバイスがありました。
靴の選び方については、購入する前には実際に履いてみること、足のむくみやすい夕方に靴下を履いた状態で試着することが望ましい、などのアドバイスがありました。
足を傷つけないためには、靴下を履くようにしたり、カイロや湯たんぽなどにより低温やけどに注意しながら、ご自分の足を日々チェックしてほしい、という話で、締めくくられました。
南・片桐理学療法士の指導でみんなでスクワットを実践しました
そのあと、リハビリ科の南理学療法士・片桐理学療法士より、「正しい歩き方」について話がありました。
まず、歩幅は「普段の歩幅プラス10センチ」を意識すると、とても運動の質が良くなる、という説明がありました。
だいたい握りこぶしの大きさ程度の歩幅ぶんをちょっと大きく歩くことで、普段の歩きでも変わってくる、ということでした。
また、歩くスピードに関しては、「適度に会話ができるくらいの歩行スピード」が適正だという話がありました。
歩きながら話をして、ちょっとしんどいなというスピードであれば、ちょっと歩くスピードが速いのでもう少しスピードを落として歩くといいということでした。
歩幅を広くして歩くとどうしても歩くスピードが速くなってしまうので話しやすいスピードにして、視線はできるだけ下にならずに上げること、また足はかかとからつけて歩くことを意識しましょう、という説明がありました。
それから、座ったままでつま先を上げる運動や、膝を伸ばす運動から始まり、肩や腕、首周りの運動を行い、そのあと立ち上がって片足ずつ体重をかけていく運動や、つま先立ちの運動、そして最後にはみんなでスクワットを行いました。
参加者の方々へのアドバイスとして、最初は体に付加をかけすぎない、ウォーキングや軽いジョギングから始めることが大事で、これだけでもかなり血糖のコントロールなどにとてもこうかてきなので、ぜひ始めてみてはどうでしょうか、というお話で、締めくくられました。
糖尿病教室では毎回テーマを変えながら、医師を中心としてチームで治療に携わる専門職などからできるだけわかりやすく、そして新しい情報をお伝えするために工夫をこらしています。
今回の教室に参加された方からも、「はじめてなので、びっくりする事が多くありました」「足病変が糖尿病と関係があるとは思いませんでした」といった感想も寄せられています。
これからもうえだ下田部病院では、糖尿病で受診をされている方、血糖値などが気になる方などを対象に、テーマを変えて定期的に糖尿病教室を行っていきたいと思っておりますので、ぜひ皆様の参加をお待ちしております。
糖尿病外来に関するお問合せなどは、うえだ下田部病院までお気軽にご連絡ください!
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